国際税務ニュースレター 2013年6月号「租税条約の最近の動向(2013年度)」
日税国際税務フォーラム
国際税務ニュースレター
2013年6月号
今回のテーマ:租税条約の最近の動向(2013年度)
租税条約については毎年恒常的に改定が進められていますが、
013年においても日米租税条約の改定をはじめかなり動きがあります。
今回は、租税条約の最近の動向を簡易的に纏めてご紹介します。
1 租税条約のプレスリリース
2013年度中の改定内容は、次のとおりです。
2 租税条約の締結手続き
租税条約の締結手続きは、まず、
①両国政府が正式交渉を開始し、
②条約案につき基本合意をします。
その後、詳細な条文の確定作業を経て、
③両政府が租税条約に署名をした後、それぞれ両国において国内手続き(日本では国会での承認手続き)を終え、
④国内手続きの完了を通知する外交上の公文の交換(書簡の交換=交換公文)を行います。
⑤交換公文の日の翌日から30日目が租税条約の発効日(その効力を生ずる年)となり、
租税条約は条約発効日を含む年の翌年から適用されることとなります。
3 米国(2013.01.25議定書が署名)
改正議定書には、1)投資所得(配当・利子)に対する源泉地国免税の拡大、2)税務当局間の相互協議手続きにおける仲裁制度の導入、3)徴収共助の拡充、が考慮されています。
4 英国(2013.03.21租税条約が基本合意。2013.03.08交渉開始)
今回の改正の柱は、米国と同様、1)投資所得(配当・利子)に対する課税の軽減、2)相互協議手続きにおける仲裁制度の導入、3)相手国の租税を相互に徴収する仕組み(徴収共助)の導入です。
5 アラブ首長国連邦(2013.05.02租税条約が署名)
これまで租税条約が存在しなかったアラブ首長国連邦との間に、投資所得に対する課税、税務当局間の情報交換等を含む租税条約の締結が見込まれます。
6 クウェート国(2013.6.14租税条約が発効。2013.5.15交換公文)
アラブ首長国連邦とほぼ同様の内容です。2014年1月1日以後に源泉徴収される租税、源泉徴収されない所得に対する租税は、2014年1月1日以後に開始する各課税年度の所得、その他の租税は、2014年1月1日以後に開始する各課税年度の租税につき適用されます。
お見逃しなく!
2013年は、二重課税回避条約と情報交換協定、どちらも同割合で改定されていると見受けられます。
今回、クウェート国との租税条約(二重課税回避条約)が初めて発効しましたが、中近東地域との締約国は全部で5カ国(イスラエル・エジプト・サウジアラビア・トルコ)となります。
なお、米国の改定議定書は2004年に発効した現行条約の一部改正となります。